宇宙を感じ風になる

               

「奇跡の子〜夢野に舞う〜」を見て

地元のテレビ局制作のドキュメンタリー映画「奇跡の子〜夢野に舞う〜」を上映初日に見に行って来ました。

映画はテレビ局が2015年から取材し制作された、ドキュメント番組「たず鳴きの里」をベースに映画化したものです。

 

のどかな農地が広がる長沼町。

北海道の東部が主に日本の繁殖地になっているタンチョウを呼ぼうと、奮闘される農家さんを中心とした記録です。

その昔、タンチョウは北海道全域に生息していたのですが、明治時代の乱獲で姿を消し絶滅したと思われていました。

ところが生息地が見つかり、人の手による餌付けや保護区のような施設が出来て手厚く守られた甲斐もあり繁殖数が伸びていきました。

そのタンチョウを呼ぼうと長沼町の地形、地質を生かしなるべく自然なかたちで生息地となる場所を作り見守るように町全体で努めていきました。

やがて飛来地にするのが非常に難しいと言われていたタンチョウがやって来て、繁殖するまでに。

明治期以降、全く生息が確認されていなかった長沼町にタンチョウが来る事自体が奇跡です。

タンチョウがやって来たという長沼町のニュースを見て以降、住まいから約一時間の場所でそんな凄い事が起きたんだとずっと思ってました。

更に映画になるなんて!

タンチョウが来るまでの紆余曲折、特に地元の農家さんの努力、頑張る姿に心打たれました。

タンチョウと人という単純な構図にとどまらず、野生動物との向き合い、自然や国に翻弄される農家さん達、時の開発事業発案の対立構造の側面なども捉えられてました。

一方で息をのむような美しい映像、優しく包み込む様に本作の為に作られた音楽。

上白石萌音さんのナレーションも映画にぴったりでした。

綺麗なタンチョウの姿と細部に込められた描写が時に素朴で、自然に涙が込み上げました。

 

見に行った日は本作品監督の沼田博光さん、北海道大学の環境地理学の分野から小野有吾教授、タンチョウを呼び戻す会活動の中心者の加藤幸一さんのトークショーがあり映画の裏側なども聞けて良かったです。

それぞれの立場からのこの映画への思い、情熱が伝わりました。

 

去年、生息域の遊水池で私も遠くからタンチョウを見る事が出来ました。

その時に気持ちがとても滅入ることがあったのですが、なんとなく今日ならタンチョウが見れるかもと思って出かけた日でした。

遠過ぎてスマホの写真にはうまく写らなかったけど、あの時の感動は忘れないです。

再び同じ感動を思い出す事ができて、涙、涙です。

タンチョウを呼ぶ活動をしてくださった長沼町の皆さんと携わった方々、映画を作ってくださったHTB放送局さんには感謝です。

 

我が家は春になると畑に植える苗を長沼町へ行って毎年買っています。

馴染みのある長沼町、これからもタンチョウの町として羽ばたいて近隣にもその輪が広がっていったら素敵だろうなと思ってます。

感動をありがとうございました!